2026年10月5日、高市早苗総理大臣は、第222回国会で所信表明演説を行いました。首相官邸の公式YouTubeチャンネルでは、演説の一部を切り出した1分31秒のショート動画が公開されています。この記事では、首相官邸ホームページに掲載された演説の全文をもとに、経済、外交、防衛、防災、憲法の5つのテーマで述べられた内容を、評価や予想を加えずに整理します。
所信表明演説とは?首相官邸の公式動画について
所信表明演説は、国会の始まりに総理大臣が、これからどのような政策に取り組むかを説明する演説です。今回の演説は、首相官邸ホームページの「総理の演説・記者会見など」に、令和8年10月5日付で全文と動画が掲載されています。
首相官邸の公式YouTubeチャンネルでは、2026年10月10日に「第222回国会 高市総理 所信表明演説」というショート動画が公開されました。短い動画なので、演説全体の流れは官邸ホームページの全文で確認できます。演説は「はじめに」「強い経済の実現」「力強い日本外交」「防衛力とインテリジェンス機能の強化」「国民の命と暮らしを守る」「憲法改正」「むすびに」の7つの章で構成されています。
演説の冒頭で高市総理は、自身が貫く志として「経世済民(けいせいさいみん)」を挙げました。結びでは「決断、挑戦、実行。」という言葉を繰り返し、決断したことを決めただけで終わらせないと述べています。
「強い経済」で述べられた主な内容
演説の中でもっとも多くの分量が割かれたのが経済の章です。高市総理は「責任ある積極財政 元年」の幕開けだと述べ、次のような取り組みを挙げました。
- 賃上げと設備投資の現状
補足:春季労使交渉で3年連続5%台の賃上げが実現したこと、2025年度の国内の民間企業設備投資が128兆円と過去最高水準に達したことを紹介しました。 - 「強く豊かな日本」投資枠の創設
補足:恒常的な施策は当初予算に計上し、「シーリング」を設けない投資枠をつくると述べました。経済安全保障上特に重要な分野は、特別会計で「別枠管理」を行うとしています。 - 財政の考え方
補足:国・地方の債務残高対GDP比を安定的に引き下げる目標を中核に置き、プライマリーバランスは単年度ではなく複数年度で管理すると説明しました。いわゆる「日本版DOGE」で、租税特別措置・補助金・基金の見直しを進めるとしています。 - 「日本成長戦略実行計画」を年内に策定
補足:17の戦略分野・62の製品などを対象に、今後5年間の国内投資の道筋を示す計画をまとめるとしました。 - 「地域未来戦略」と「国内投資マップ」
補足:既に50を超える計画が動き出しており、年末までに策定・公表される計画を倍増させると述べました。来年春までに、国の支援で各地で実現するプロジェクトをまとめた「国内投資マップ」を公表するとしています。 - エネルギーの新たな戦略
補足:「エネルギー需給構造強靱化総合パッケージ(POWERR GX)」として、年内に制度・予算を一体的に盛り込んだ新たな戦略を取りまとめるとしました。
物価高対策と「消費税・支援金法案」
暮らしに直接かかわる物価高対策についても、演説で詳しく触れられました。
- これまでの対策
補足:ガソリン・軽油の暫定税率廃止、燃料油補助、電気・ガス料金支援などに取り組んできたと述べました。今年の年末調整では、所得税の負担軽減を届けるとしています。 - 実質賃金の動き
補足:実質賃金上昇率が8か月連続でプラスとなり、G7の中で最も高い水準にあると説明しました。 - 「消費税・支援金法案」
補足:飲食料品の税負担を軽くし、あわせて所得に応じた支援金を措置する法案の準備を進めていると述べました。財源は特例公債に頼らずに確保するとしています。首相官邸の「国と地方の協議の場」(10月20日)のページでは、この法案が10月9日に閣議決定され、国会に提出されたことが紹介されています。 - 人口減少への対応
補足:年末を目途に「人口総合戦略」を策定すると述べました。人手不足への対応として、AX(AIトランスフォーメーション)の社会実装を進めるとしています。
外交・防衛について述べられたこと
外交の章では、法の支配に基づく国際秩序を維持・強化していく考えが示されました。主な内容は次のとおりです。
- 日米同盟と沖縄の基地負担軽減
補足:沖縄県を含む基地負担軽減に取り組み、普天間飛行場の全面返還を目指して辺野古への移設工事を進めると述べました。 - 近隣国との関係
補足:中国とは「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとしたうえで、東シナ海・南シナ海の問題などについて主張すべきことは主張し、責任ある行動を強く求めていくと述べました。 - 北朝鮮による拉致問題
補足:首脳会談も含め、あらゆる選択肢を排除せずに取り組むと述べました。 - 防衛力とインテリジェンス
補足:年末までに「三文書」を見直すとしました。本年設置した「国家情報会議」と「国家情報局」で、省庁横断の情報の集約・分析を強化するとしています。
防災・暮らしの安全と憲法改正
- 防災庁の発足
補足:本年11月に防災庁が発足すると述べました。平時の備えから初動対応、避難所、物資供給、復旧・復興までを一気通貫で担う、災害対応の司令塔となる体制を確立すると説明しています。 - 副首都法とクマ被害対策
補足:首都中枢機能の継続性確保のため「副首都法」の円滑な施行を進めること、本年取りまとめた「クマ被害対策ロードマップ」に基づく取り組みを加速することを挙げました。 - いわゆるトクリュウ対策
補足:匿名性の高い通信アプリへの対応など、重大犯罪の被害を防ぐための措置がとれるよう制度を見直すとしました。 - 憲法改正と議員定数
補足:前国会での国民投票法の改正を歓迎し、憲法審査会での議論に期待すると述べました。衆議院の議員定数削減についても、今国会での実現に向けた議論に期待するとしています。
まとめ
2026年10月5日の所信表明演説で、高市総理は「責任ある積極財政」を軸にした経済政策、「消費税・支援金法案」を含む物価高対策、外交・防衛、11月に発足する防災庁、憲法改正などについて考えを述べました。年内の「日本成長戦略実行計画」や「三文書」の見直し、来年春の「国内投資マップ」など、時期が示された取り組みもあります。演説の全文と動画は首相官邸ホームページで確認できます。この記事の内容は、いずれも首相官邸が公表した情報を整理したものです。
高市総理の最近の会見については高市総理「就任1年」会見の要点まとめ、外交の動きは日・ミクロネシア首脳会談のまとめで紹介しています。ほかの社会の話題は社会・ニュースカテゴリーから読めます。
参考:首相官邸 第222回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説(令和8年10月5日)/首相官邸 国と地方の協議の場(令和8年10月20日)