2026年10月29日、高市総理は総理大臣官邸で令和8年第15回経済財政諮問会議を開きました。議題は「予算編成の抜本見直しの具体化」と「AIによる経済・社会の変革を見据えた政策形成に向けて」の2つです。総理は会議の最後に、『令和9年度予算編成の基本方針』の策定や、年末までの『人工知能基本計画』の改定などを関係大臣に指示しました。この記事では、首相官邸と内閣府が公表した資料をもとに、会議の中身を評価や予想を加えずに整理します。
会議の概要:10月29日に官邸で第15回を開催
内閣府の会議資料ページによると、第15回経済財政諮問会議は令和8年10月29日(木)の18時10分から18時55分まで、総理大臣官邸4階大会議室で開かれました。
- 議題1
補足:予算編成の抜本見直しの具体化。若田部議員が有識者議員提出の資料1をもとに提案を説明し、意見交換が行われました。 - 議題2
補足:AIによる経済・社会の変革を見据えた政策形成に向けて。南場議員が資料3で民間議員の提案を、古川大臣(臨時議員)が資料5「AI・デジタル政策について」を説明しました。 - 公表されている資料
補足:議事次第と資料1〜5。議事要旨は11月1日時点の会議情報一覧ではまだ掲載されていません。
同じ10月29日の夜に行われた総理会見の内容は、高市総理会見(10/29)の要点で紹介しています。
議題1:予算編成の抜本見直しで民間議員が示した提案
有識者議員の資料1の題名は「予算編成の抜本見直しを実行に移すために~危機管理投資・成長投資の予見可能性と政策効果を高める予算運営~」です。首相官邸の発表では、民間議員から次のような提案があったとされています。
- 財政の全体像を示す
補足:令和9年度予算編成に当たって、「歳入・歳出両面から財政の全体像」を明らかにすること。 - 新規国債発行額の示し方
補足:歳入・歳出両面での取組を反映した結果として示し、経費の内訳も含めて財政運営の実態を説明すること。 - 基金と国庫債務負担行為
補足:長期投資に必要な政府のコミットメントを損なわないよう留意しつつ、基金の見直しや国庫債務負担行為の活用拡大を図ること。
内閣府の大臣記者会見要旨に載っている事務方の説明では、片山財務大臣が会議で、17の戦略分野への成長資金などを金融面からも進めるため、政府と金融機関による「官民戦略投資フォーラム」をこの日にキックオフしたと述べたことも紹介されています。片山大臣はあわせて、恒常的な施策は当初予算で措置し、補正予算は真に緊要性の高いものに限定する考えや、基金に加えて補助金の見直しも進める考えを示しました。
高市総理の指示:『令和9年度予算編成の基本方針』の策定へ
議論を踏まえ、高市総理は城内大臣と片山大臣に次のように指示しました。
- 予算編成の基本方針(城内大臣)
補足:「歳出」にとどまらず歳入・歳出両面を総合的に捉え、「財政の全体像」を明らかにするものとして『令和9年度予算編成の基本方針』の策定を進めること。 - 成長戦略との連動(城内大臣)
補足:『日本成長戦略実行計画』と連動する形で、「複数年度の財政措置」「政策の質を高める予算編成の考え方」「外部の専門的知見の活用」などを具体化すること。 - 補正予算の考え方(城内大臣)
補足:「当初予算中心」の運営に転換する一方で、災害時や予算編成後の経済・物価情勢の変化などへの対応についての考え方を明確にすること。 - 税収見積もり(城内大臣)
補足:「マクロ経済見通し」に基づく分析を行うなど財務省と緊密に連携し、税収見積もりの精度向上に貢献すること。 - 見積もりの精度と透明性(片山大臣)
補足:内閣府との連携を通じて「見積もりの精度」と「透明性」を高め、その結果を令和9年度予算編成に反映すること。
城内大臣は会議後の記者会見で、『「強く豊かな日本」投資枠』の創設、費用対効果を継続的に検証して効果の乏しい事業を見直す仕組み、補正予算への恒常的な依存からの脱却、税収見積もりの精度向上などを重視する方針を説明しました。
議題2:AIによる経済・社会の変革をめぐる提案
2つ目の議題では、民間議員から次のような提案があったと首相官邸が公表しています。
- 生産性向上
補足:官民でAIを最大限活用した生産性の向上。 - 雇用・人材育成への影響
補足:AIが雇用や人材育成に与える影響を継続的に把握すること。 - サイバーセキュリティ強化
補足:AIを使った攻撃を前提にした対策の強化。 - 中長期的な経済・社会の姿
補足:将来の経済・社会の姿と、それに伴って必要となる対応を示すこと。
閣僚からは、藤井総務大臣が地域への波及度の高い中堅・中核企業でのAI導入支援の強化や、NICTの情報分析能力の抜本的な強化に取り組むと述べました。古川大臣は、総理の指示を踏まえ、まずは2030年までの約4年間を対象に、日本として目指すAX(AI・トランスフォーメーション)の具体像を集中的に検討すると説明しています。サイバー対策をめぐる政府の別の会議については、サイバーセキュリティ関係閣僚会議 第1回(10/26)の要点でまとめています。
高市総理の指示:『人工知能基本計画』の改定と『人口総合戦略』
AIの議題について、総理は古川大臣と城内大臣に次の指示を出しました。
- 人工知能基本計画の改定(古川大臣)
補足:年末までに「AXが実現した行政・産業・暮らしの姿」などの具体像を示し、『人工知能基本計画』を改定すること。 - サイバー攻撃に関する情報発信(古川大臣)
補足:日本企業へのサイバー攻撃が相次いでいることを踏まえ、国民への「タイムリーな情報発信」を行うこと。 - 必要な労働力への対応(城内大臣)
補足:AIやロボットの活用など「必要な労働力」への対応について、分野横断的な推進体制を『人口総合戦略』に盛り込むこと。 - 中長期の検討体制(城内大臣)
補足:「AIの影響」を含む中長期的な「経済・社会のあり方」を検討する体制を整え、来年の『骨太方針』に反映すること。
城内大臣は記者会見で、前日の10月28日に「人口総合戦略に関する関係副大臣等会議」の初会合を開いたことにも触れ、今後は有識者会議でも論点に沿って議論を深めていくと述べています。
今後の主な予定(公式発表に書かれている時期)
- 年末まで
補足:『人工知能基本計画』の改定(「AXが実現した行政・産業・暮らしの姿」などの具体像を提示)。 - 令和9年度予算編成
補足:『令和9年度予算編成の基本方針』の策定を進め、見積もりの精度と透明性を高めた結果を予算編成に反映。 - 来年の骨太方針
補足:「AIの影響」を含む中長期的な経済・社会のあり方の検討結果を反映。
まとめ
10月29日の第15回経済財政諮問会議では、予算編成の抜本見直しとAIによる経済・社会の変革の2つが話し合われました。高市総理は、歳入・歳出両面から財政の全体像を示す『令和9年度予算編成の基本方針』の策定や、補正予算の考え方の明確化、年末までの『人工知能基本計画』の改定などを関係大臣に指示しています。この記事は首相官邸と内閣府が公表した内容を整理したもので、議事要旨は後日公表される見込みのため、最新の情報は各公式ページで確認してください。
ほかの政府の動きは地域未来戦略の会議(10/30)の要点や、社会・ニュースカテゴリーから読めます。
参考:首相官邸「経済財政諮問会議」(令和8年10月29日)、内閣府「第15回経済財政諮問会議 会議資料」、内閣府「第15回 城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨」